近隣トラブルでとても多いのが騒音トラブルです。騒音トラブルは誰もが被害者、および加害者になる可能性があるとともに、解決することが難しい問題でもあります。
もしも騒音トラブルに巻き込まれてしまったら、どのように対応していけばよいのでしょうか。実際の事例を確認しながら、解決方法を紹介していきます。
どの程度の音が「騒音」と判断されるのか?
まずは、騒音の種類や基準について確認しておきましょう。
音の種類 | 大きさ(デシベル) | 感じ方 |
---|---|---|
犬の鳴き声 | 90~100 | 非常にうるさい |
赤ちゃんの泣き声 | 80~90 | 非常にうるさい |
話し声(大声) | 88~99 | 非常にうるさい |
ピアノ | 80~90 | 非常にうるさい |
布団を叩く音 | 65~70 | うるさい |
車のアイドリング | 63~75 | うるさい |
洗濯機 | 64~72 | うるさい |
掃除機 | 60~76 | うるさい |
テレビ | 57~72 | 場合によっては気になる |
子供の駆け足 | 50~66 | 場合によっては気になる |
話し声(日常) | 50~61 | 場合によっては気になる |
エアコン | 41~59 | 場合によっては気になる |
換気扇 | 42~58 | 場合によっては気になる |
表を見てわかる通り、音には大きさを表すデシベルと言う単位があります。日常生活でストレスなく過ごすためには、50デシベル以下の環境が望ましいとされています。
ただし、生活していくうえで、これらの音を一切出さずに生活することは困難であり、ある程度音を出してしまうことは想定の範囲内です。
そこで大切になってくるのは、音を出す時間や場所です。次の表には、それぞれの地域と時間で定められた騒音の基準値が記されています。
地域の類型 | 基準値(昼間) | 基準値(夜間) |
---|---|---|
AA(療養施設などが集合している静音を要する地域) | 50デシベル以下 | 40デシベル以下 |
A(専ら住宅地として使用される地域) | 55デシベル以下 | 45デシベル以下 |
A(Aのうち2車線以上の道路に面する地域) | 60デシベル以下 | 55デシベル以下 |
B(主に住宅地として使用される地域) | 55デシベル以下 | 45デシベル以下 |
B(Bのうち2車線以上の道路に面する地域) | 65デシベル以下 | 60デシベル以下 |
C(相当数の住宅と商業、工業用の地域) | 60デシベル以下 | 50デシベル以下 |
C(Cのうち車線を有する道路に面する地域) | 65デシベル以下 | 60デシベル以下 |
表にあるように、地域や時間によって騒音の基準値が違います。騒音トラブルの原因となるのは、この基準値を超えてしまって想定の範囲外の騒音が出ている時に起こってしまいます。
騒音トラブルの体験談と対策方法
では実際の騒音トラブルの体験談や裁判事例などを見ていきましょう。
隣の部屋の話し声がうるさい
ケース①
ケース②
粗相をしたり、何かをこぼしたりすることに腹を立て、いつも罵声を浴びせています。
声が大きくてうるさいのもあるのですが、不快な言葉を連発しているので余計にストレスが溜まります。
上の階の足音や物音がうるさい
ケース①
ケース②
ピアノ、ギターなどの楽器音がうるさい
バイクや車のエンジン音がうるさい
ケース①
でも改造車に乗るような、ちょっと怖そうな感じの人なので、誰も文句を言えません。
ケース②
騒音トラブルで裁判になった例はあるのか?
上階の子供の騒音に関する判例
- 本件の騒音は50~65デシベルとかなり大きく、夜間や深夜に発生することもあったため、被告は長男をしつける等誠意ある対応をするのが当然である。
- しかし被告は効果の不明確なカーペットを敷くという方法をとっただけで、さらに注意された際に取り合わない等その対応きわめて不誠実なものだった。
- これによって原告は精神的な苦痛、食思不振,不眠等の症状を生じた。
- 被告は原告に対して36万円支払うこと
- 被告は訴訟費用の1/6を負担する事
URL:https://www.skklab.com/lawsuit_and_judicial_precedent/case1
この事件では、騒音の発生源を特定していたという点と、被害日時と音量を記録していたという点、さらには、管理会社に注意されていたにもかかわらず、不誠実な対応であったという点がポイントとなりました。
きちんと被害内容を明確にしていることと、何度もお願いしたにもかかわらず聞いてもらえないという状況が揃っていれば、騒音問題に関する被害は認められやすくなります。
上階の子供の騒音に関する判例
とくに子供の叫び声や暴れ回る音が騒がしく、被害にあった方は引っ越しを余儀なくされたとして30万円の慰謝料を請求しました。しかし、これは認められませんでした。
先ほどの判決との違いは、騒音被害が昼間の短時間だけに限られていたという点や、音の大きさが許容範囲だったという点があげられます。URL:https://mansionlife.jp/article/souon-torouble?page=2#d4332d98055694f589e0f06f14e0a56b
ゴルフのパター音に関する判例
専門家に調査してもらっているが、発生源を証明できなかった。
名誉棄損で50万円賠償。謝罪広告の請求は棄却。
発生源が特定できなければ、当然訴えることなどできるわけもありません。専門家に調査してもらったとしても、部屋の中で行われていることを証明するとはとても難しい事です。調査は慎重に、さらに長期にわたって確実に行う必要があります。
赤ちゃんの夜泣きに関する判例
最高裁の判例では、賃貸借契約の継続中に、当事者の一方が信頼関係を裏切るような行為をした場合には、賃貸借契約を解除できるとしたものがあるんです。
~中略~
赤ちゃんが生まれるということは、人間が生活していれば普通のことですし、赤ちゃんにとっては泣くことは仕事ですから、当然貸し主としてはその程度のことは予期していなければならないからです。ですから、赤ちゃんの鳴き声がうるさいという程度では、信頼関係が破壊されたとはいえない
URL:https://wings-lawfirm.jp/publics/index/13/detail=1/b_id=111/r_id=129/
赤ちゃんの泣き声は確かに騒音レベルとして高いのですが、他の音と比較しても、騒音と認められることは非常に稀です。
その理由は、やはり赤ちゃんが泣くのは仕方のないことであるというのが根底にあるからです。
あまりにも非常識な方法で赤ちゃんを泣かせているのではなく、通常の育児の中で赤ちゃんが泣いてしまうのは当たり前のこと。
そのことを理由に、賃貸借契約を勝手に解除することはできません。
道路族に関する判例
男性は府迷惑防止条例の違反容疑で京都地検に書類送検、略式起訴され、罰金30万円を科せられた。男性の代理人によると、男性は「カメラを付けられたので抗議のつもりだった」と話したという。
この事件では、道路上で迷惑行為をしているだけでなく、それを注意した相手に対して執拗な嫌がらせ行為を行ったという点が問題です。
裁判が終わった後でも、両者の確執は残ったままで、近隣トラブルは解決されたとは言えません。
道路族の被害は年々増加していますが、直接注意することによって大きなトラブルに発展してしまうケースもまた増えています。
こういった被害に遭った場合、自分で解決しようとするのではなく、専門家に任せて安全に解決することが大切です。
騒音被害の対応方法と苦情相談先一覧
もしも騒音被害に遭ってしまった時、どこに相談するのがベストなのでしょうか。
騒音被害の相談先を一覧にまとめてみました。
相談先 | 流れ | 電話 |
---|---|---|
管理会社 | マンションやアパートの場合は、まず管理会社に連絡。 | 各物件による |
役所 | 一軒家の場合や管理会社が対応してくれない場合は、役所に相談。 | 各地域による |
自治会 | 自治会や町内会がある場合は、そちらに相談しても◎。 | 各地域による |
警察 | 悪質な場合は相談できるが、民事の場合は対応できない | 各地域による |
生活トラブル調査センター | 無料で専門家のアドバイスがもらえる。 | 0120-783-080 |
ストーカー・嫌がらせ被害対策室 | 悪質な場合はこちらに無料相談。 | 0120-130-190 |
弁護士 | 解決が難しい場合は弁護士に依頼することもできる | 03-3581-0031(東京弁護士会 紛争解決センター) |
騒音被害は、まず管理会社や各自治体に相談することがおすすめです。特に賃貸物件や分譲マンションの場合は管理会社が管理しているはずなので、近隣トラブルも気軽に相談できます。
ただし、管理会社や自治体ができることはせいぜい注意喚起程度。悪質な隣人の場合は全く効果がない…というケースも多く見受けられます。
そんな時は、近隣トラブルの無料相談所に相談してみるのも一つの手です。専門家の適切な判断で、騒音トラブルの解決方法を教えてくれます。
それでも解決しない場合は、警察や弁護士に相談するという方法もあります。ただし、近隣トラブルの多くは民事事件であるため、警察は介入できないケースが多く、解決には至らない場合も。
そんな場合におすすめなのが「隣人迷惑・近隣トラブル仲裁サービス」です。自分では解決できない厄介な騒音問題に対して、専門知識を持ったプロが解決のために動きます。
騒音問題は警察なども介入しづらいため、泣く泣く我慢しているという人がたくさんいますが、しっかりと証拠などを集めれば解決出来るケースも多数あります。
また、そもそもこういったトラブルを予防するためには、引越し前の隣人調査や、トラブル予防サービスの利用も考えましょう。
対応に注意が必要な騒音トラブル
騒音トラブルの中には、慎重に扱わなければならないデリケートな問題もあります。
例えば、赤ちゃんの泣き声や子供の遊び声など。これらは、たとえうるさいと感じても、なかなか騒音として認められない場合もあります。
では具体的にどのようなケースがあったのか紹介していきます。
赤ちゃんの夜泣き
ケース①
ケース②
道路族の子どものうるさい声
ケース①
ケース②
上記のような「子供の声」に関する騒音問題は、とてもデリケートな問題です。たとえ、うるさいと感じていても、子供が泣いたり遊んだりする声は仕方がない…と思われてしまうことが多いためです。
実際に「子供が遊ぶ声がうるさくて困っている」とネット上で相談したところ、「子供がかわいくないのか」「大目に見るべき」などの厳しい反応を突き付けられたという事例もあります。
こういったトラブルに巻き込まれてしまったら、できるだけ穏便に解決することが重要となってきます。
最初から「注意」という意識でキツイ言葉を使うと、相手側に悪い印象を持たれてしまう可能性もあるので、まずは「お願い」という意識で、やんわりと改善要求を伝えてみましょう。
それでもなかなか上手く行かない場合は、専門家などの第三者を交えて話し合いをする場を設けてみましょう。
当事者間のやりとりだと、つい感情的になって厳しく対立してしまうケースもあるので、冷静な視点で話をまとめられる第三者がいた方が、穏便にまとまることが多いです。
まとめ
騒音トラブルは、誰でも巻き込まれる可能性のある身近な問題です。
もしも巻き込まれてしまったら、住民同士のトラブルに発展しないように、うまく解決していく必要があります。
解決が難しい場合は、一人で悩まずにぜひ一度「隣人迷惑・近隣トラブル仲裁サービス」に相談してみてください。一人ひとりの悩みに応じた、適切なアドバイスを受けることができます。
また、そもそもこういったトラブルを予防するためには、引越し前の隣人調査や、トラブル予防サービスの利用も考えましょう。
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